未熟な早産児では、急性期を過ぎてから原因不明の晩期代謝性アシドーシスを起こし、対応に苦慮することがあります。この晩期代謝性アシドーシスを起こした早産児の血液をタンデムマスで調べると、ビオチン欠乏で上昇するC5OHの上昇が見られました。ビオチンは、クエン酸回路や脂肪酸合成に関わるホロカルボキシラーゼの補酵素として働く、水溶性ビタミンです。ビオチン血中濃度の測定やビオチン内服によって、晩期代謝性アシドーシスが予防できないかを研究しています。
超早産児は、その未熟さ故に様々な合併症を来します。とくに慢性肺疾患は児の生涯のQOLに大きく影響し、また晩期循環不全は高率に脳障害を来す可能性を指摘されています。私たちは、生後早期からヒドロコルチゾンを少量で経口投与することで、慢性肺疾患の重症化の予防と、晩期循環不全の発症予防を試みています。